グループ・チーム・ペア
今夏、ある大学のファシリテーション集中講義で、学生さんから一つの疑問が出された。
リーディング課題として出された星野欣生著「職場の人間関係」の「協働」について書かれたところで、「3人以上がグループ、あるいはチーム」だと書いてあるが、「そんなふうに断定できるのか、スポーツではペアの競技もチームと言っているような気がする」というものだった。
なるほど、「厳密にことばを分けて使われていないかもしれませんね」と答えつつも、お互いしっくりこない。なんとなくはっきりしないまま終わったことが心に残っていた。
確かにスポーツは明確な勝ち負けの目標があり、その意味ではペアはグループと言うよりチームに近いし、ペアの二人だけでなく監督やトレーナーなどかかわる人たちも含めてチームと言う感覚が強いのかもしれない。
今はそう考えていることもその時は思いうかばず、伝えられていない。
その後、私はなんとなくひっかかったままでいた。
そうしたら、この3連休に、法事のために息子が帰ってきており、そのことを友だちにメールした時
自分の表現に我ながら驚いたことから、再びこの疑問を思い出すこととなった。
うちは、以前は五人家族だったのだが、今は夫とニ人暮らしである。二人になった時は淋しい気もしていたがいつのまにか慣れてきた。そして、だんだん二人の会話も否応なく増えてきた。そんな暮らしをしながらも、この3日間は3人家族になる。
友だちにメールをしたとき、今日の我が家の様子を伝えるのに、私は「わちゃわちゃしてきた」と書いた。
それを書いたとき、あー二人だと「わちゃわちゃ感」は生まれにくいなと思った。気になる他者が目の前に一人なのか二人なのかで、気持ちが全然変わる。空気が変わると思った。
スポーツは実際のプレイヤーは二人でも、周りで同じように勝利を目指す人たちがいると、たった二人の世界ではないのではないかと思う。だからチームと言ってもおかしくないよな気もする。
でも、自分にとっての目の前の相手が一人から二人に増えたとたん、コミュニケーションの矢印が複雑になる。
そうなると、3人以上をグループあるいはチームと言うのはわかるなと、急に思ったのである。
もうその疑問を投げかけた学生さんに会うことはないが、
今私が思っていることを話すことができたらな。
なんて返答してくれるかな、とそんなことを思った。