聞き流すコミュニケーション

先日、久しぶりに、短大時代の友達と一緒に、京都へ花見に出かけた。
おんな4人のかしましい小旅行である。
新幹線の切符を車掌さんが見に来るというのに、私は切符を無意識に
どこへ入れたか忘れてしまって、だんだん迫ってくるのに・・・焦って探してしまった。
「私もよくやるわ~」「焦らなくていいからね~」ってなだめられつつ
結局バッグの中の携帯入れのポケットに入れていたのを、やっと見つけて
なんとか切符を見せるのに間に合った。
そんな珍道中の間のこと。
一人が、「体を動かすときに、さあ、やるぞーとか、さてとっ とか、
声を出してからすると、いいんだってさ。テレビの番組でやってたわ」と言った。
なにげなく聞いていて、「そうなの?でもどうしてだろう?」と興味をもって
問いかけてみると、「あのさ~そういうときは、流してくれないかな~。へんなこと聞かないでさ~」と
言われてしまった。
日ごろ、コミュニケーションのトレーニングや実習をしているとき、常々、私は
なかなか人の話を聞いていても相手に質問をしない方だと思っていたので
むしろ、珍しく興味をもって聞いたのだけれど、どうも、それが彼女にとっては意外で
心外だったようだ。
コミュニケーションは、言葉のやりとりだけではない。
彼女は、何気なく思い出したネタを披露したまでで、
聞き流してほしかったらしい。「へえ~」「ふ~ん」と。
その思いを、私はくみ取れなかったのだろうが・・・
時には、何気ない会話自体を愉しみたいということもある。
女が数人寄れば、かしましいのは、そういうことでストレスを発散したり、
嫌なことを笑い飛ばして、忘れたいという欲求を満たしているのかもしれない。
だれも、詳細までは聞いていないのに、みんないろいろ話飛ばして、なんとなく聞き流して
相手の様子がわかったような気になって、安心して別れるというような
女子のランチ会や飲み会は、確かにそうだ。
深刻な話題ではない時は、幸いなこと。
みんな親の介護などを抱えているし、そういう部分での情報交換や悩み相談の場合は
結構詳細まで、お互い真剣に話し合ったりももちろんする。
子供たちが巣立って、昼間は家にひとりでいて、1日中話すこともない日もあるという友は、
「まもなくお風呂が沸きます。」というコールに、「はいはいありがとう」と
返事をするのだそうな。
久しぶりの見事な京都の桜を見ながら、気の置けない女友達と
好きなだけ人との会話を愉しみながら、過ごしたかったんだろうな。
帰りの切符は、ちゃんと手にもって早くから準備して構えていたのに、
なんと京都から名古屋の間に、車掌さんは検札に来なかった・・・
最後まで楽しい珍道中であった。
 

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