ありがとう大名古屋ビルヂング
この9月末で、あるビルが閉館となる。
名古屋駅前にある、
「大名古屋ビルヂング」である。
名古屋駅のコンコースを出ると、左の正面、に見える、台形のような形のビルだ。
1965年の完成。東海道新幹線が開通し、名古屋が急激に都市として発達してきた
ころに建築されたことになる。
実は、私は、小学校3年の頃、名古屋駅まで徒歩5分のところに住んでいた。
この大名古屋ビルの姿は、その当時から覚えており、この地下のパーラーに
連れて行ってもらうのが(滅多になかったが)なによりの、特別な楽しみだった。
「どうして、ビルヂングなの? ジ じゃないのかな? なんかへんだね 」
そう言いながら、眺めたものだった。
その後、10年あまりして、短大を出たとき、就職した企業が、この大名古屋ビルヂングに
あった。
OL時代を過ごしたわけだ。
今も、このビルは、綺麗に手入れされ、ロビーの壁画も、当時のままの落ち着いた雰囲気を
そのままにしている。
エレベーターホールも、廊下も、そのままだ。
大理石を使った内装は、当時は勿論、今でも本当に美しいし、素敵である。
思い出ぶかいこのビルが、もうすぐ無くなると知り、仕事のついでに名古屋駅に行くと、
ときどき、懐かしいこのビルのカフェに立ちよったりしてみていたが、
先日、行って見ると、そのカフェも閉店していた。
なんとも、名残惜しい気持になった。
気を取り直して、1階のホールに行ってみると、閉館記念の写真展が行われていた。
小学校3年生当時の様子、OL時代の様子、懐かしい映像とともに、名古屋の発展の様子も
見て取れた。
母と入ったパーラーのあった場所。OL同期の友達とおしゃべりしながら、ランチに出かけた
エレベーターホール。会社帰りに通ったカフェ。ときどき、会社の先輩とみんなで出かけた
屋上のビアガーデン。
思い出の一杯つまったビル。
そして、このビルで、一番長い間一緒に過ごした、親友のTちゃんのことを懐かしく
思い出した。
Tちゃんは、この春他界した。
もう逢えないけれど、このビルで一緒に過ごした時間の思い出は、たとえこのビルが無くなっても
色あせることはない。
欠けがえのない大切な思い出。
きっと、天国から、見ていてくれるだろう。
ありがとう 大名古屋ビルヂング ありがとうTちゃん