こころの傷を癒すということ

NHKの土曜ドラマ「心の傷を癒すということ」4回シリーズを見ました。阪神淡路大震災のおり、被災者の心に寄り添った、精神科医の物語です。

実在の安 克昌さんの本が原案とのことで、ノンフィクションです。

PTSDの人たち、不安を抱える人たちの心のケアを、実際に避難所や病院の診療所で被災者と関わりながら、手探りで追及していくところは、丁寧なつくりのドラマでした。

その中で、主人公の安先生が、「心のケアは一人一人が尊重される社会をつくるということだ。」

そして「心のケアは、だれも一人ぼっちにさせないこと。」という場面がありました。

そのために、安先生は、自分が病になっても治療をして動けなくなるより、自分のしたい心のケアを最後まで続けるために自身の治療を拒否する場面がありました。

「傷ついた人は、周りから人が離れて行ってしまう気持ちになることがある。」これもドラマの中で安先生が書いた本の一節に出てくる言葉。

これは、私自身のこころにも、大きく響く言葉でした。

自然災害だけでなく、いじめ、パワハラなどで心を傷めることは、生きていれば、どこにでもあることです。病で余命を宣告されるとき、治らない病気を告げられた時、親や連れ合いを亡くし、ひとりになったとき・・・人生には、心が傷つくような出来事はいっぱいあります。

「一人一人が尊重される社会をつくる」ことは、心を傷めた人に誰かが寄り添い生きる力を一緒に創り出すことでもあるのかもしれません。そういう誰かになれるかどうか、それは、その人をよく見てよく感じて、黙ってそばにいることかもしれません。頭で考えて、あれこれしてあげなくちゃというのではなく、その人の表情に、しぐさに、言葉に、耳を傾けてみることかもしれません。こちらが、教えてもらう気持ちで、ゆっくりと。

Tグループ、ラボラトリー方式の体験学習の目指すところも、「一人一人が尊重される社会をつくること」です。だからこそ、知識やスキルに溺れることなく、観念的なことにとらわれず、自分の感覚、感じ方が違っていないか、胸に手をあてて、自分を問いながら臨みたいと心がけています。

なかなか思うようには、いきませんが、今は、それが一番、私には大事なものさしかも。