こっちの事情

沖縄の首里城が燃えてしまって心が痛みます。私でもそうなのですから、沖縄に縁のある方の痛みはいかばかりかと思います。沖縄の方が何度も乗り越えてきた、悲しい状況からの復活を心から祈っています。

話は変わりますが、今、私の手元に母の運転免許経歴証明書があります。これを手にするまでの道程の大変だったこと。父に運転をやめさせる時には、「若い人を傷つけるといけない」とか「判断能力が落ちている」とか「運転できなくても不便な場所じゃない」とか言っていたのに、自分の時になると全く違っていて「車が無いと不便」「まだ大丈夫」と言ってきかない。86歳にもなっている母は、一般的な人に比べたら足腰は丈夫で若く見える。しかし、子供の私からすると衰えは著しく、とても不安で運転などしてもらいたくない。兄も同様の考えで、この数年は運転をやめることを、喧嘩をしながら説得し続けていたのです。

そして、やっと先日一緒に警察に行き、免許返納の手続きをした。代理人での手続きはとても面倒なので、「何で?」と言う本人を連れて手続きに行くと、窓口で「有効期限はまだありますが、本日返納でよろしいですか?」と丁寧にお聞きになる。心の中で「やめてくれー!」と叫びながら、「はい」と言うのだと念じる。案の定「そうなんですよね…」と答える母。横手から私が「話しあって決めてきました」と伝え、「いいんです」と目配せ。係の方は笑いながら手続きを進めてくれた。

当然のこととはいえ、この確認はやめて欲しいとしみじみ思った。ここで心変わりされては元も子もない。今までのこちらの努力を理解してくださいよと思う。でも、こういうことって多いよね。当事者でなければ当たり前と思えることが、当事者となると納得できない。というか優しくないなぁ、こちらの状況をもっと理解してほしいなぁと思う。勝手な話だが思わずにはいられない。

「一人ひとりを大切にすること」これは私たちにとって、とても大切な思い。本当の意味で多くの場で、このことを実践するのは難しい。運転免許にとてもよく似た形式の運転免許経歴証明書を見ながら、これを運転免許と思わないといいなと思いながら、改めてこんなこと思っている。