7月の例会・実家に帰ったみたいに

7月17日(木)午後は、夏の「自由に語り合おう実家にかえったみたいに」でした。
まだ梅雨が明けきらない、不安定な蒸し暑い天気の中、小さな息子さんを連れた女性が来てくださいました。途中で「お家に帰りたい」と主張する息子さんと「ママはもう少しお話したいの」と息子さんに向き合い、辛抱強く語り掛ける様子に、どんな展開になるのかなと見守っていると、十分に自分の主張を繰り返したことに満足したのか、小さな息子さんはふと、自分からそこにあった画材で色塗りを楽しみ始めました。その様子をみていて子育て期、子どもたちと向き合って、いろいろな思いをしたことを、こちらも懐かしく思い出しました。親子でも夫婦でもひとりの人と人として向き合い伝えあうこと、その大切さを感じられる学びについてなど、話題が広がりました。「ちょっと話してみたいな、聞いてほしいな」というとき、ご都合がよければ、どうぞお気軽にお越しください。

7月24日(金)は、Seedsの例会でした。
文献「現実はいつも対話から生まれる」第3章社会構成主義と専門行為
社会構成主義の概念に魅力を感じる理由の一つには、私たちの人生に与える影響の大きさにある。と作者は述べています。①心理療法②組織開発③教育④紛争解決の専門分野について、具体的な例を挙げて書かれています。
これまで、心理療法の領域では、生きづらさをもたらす心理状態になった原因を探るという手法が多かった中で、社会構成主義的な配慮と特に親和性の高いものとして、ナラティブ・セラピー、ソリューション・フォーカスト・ブリーフ・セラピー、ポストモダンセラピーなどが紹介されています。また、組織を扱う分野では、個人のリーダーシップから関係性のリーダーシップへ、教育の分野では、これまでの個人主義に基づいた「教える」というものから、関係性の中から意味が生まれる、他者と共に学習を行い、他者の中に身を置くことによって学びを得る、コラボラティブ・ラーニング(協働学習)紛争解決の手法として、パブリック・カンバセーション・プロジェクトがあげられています。
これまで、「こういうものだ」と思ってきた概念を、一度取っ払って、語り合うこと、互いの物語に寄り添い聞きあうことから、関係の問題、お互いの問題ととらえなおし、お互いにこれからを創り出していく、いいところ、強みに着目して、そこでお互いにどう関わりあっていくことで、未来を作っていけるか、一緒に話し合い、語り合い、創造していくことなのかなと思いました。
歴史や伝統が縛り付けているものが何なのか、何にとらわれているのかを、もう一度考えてみましょうということでもあるという意見も出ました。
ついつい、自分の側で感じてしまう理不尽さや相手への怒りなどの感情に影響されて、お互いの問題として話し合うテーブルに着くまでが、なかなか難しいという意見も出されました。
また、社会構成主義の考え方を、自分の身近なところで、取り入れていきたい分野についてメンバーで話し合いました。相談員の仕事をしているメンバーからは、職業相談の場に応用できないか。「自分がこうだからなかなかうまくいかない。」のではなく「自分のいいところに目を向けて、前向きに関係を創っていこう。」と物語を作っていくことで就労支援ができないかという意見が出ました。また、学習支援の場、介護支援の場、発達に気がかりのある親子の支援の場での、個々のメンバーの経験を踏まえての、社会構成主義でいうと、こんなことが言えるのではという話し合いにふくらんでいきました。この視点をもって、日常の出来事をみていくと、これまでの関係を改善し、新しい関係の創造のきっかけにできるのかもしれないなと、ちょっと可能性を感じました。

次回の例会は、8月28日です。