4月の例会

4月9日、今年になって2回目の例会を行いました。
前回からスタートした『ナラティブ・セラピー』(マイケル・ホワイト著)ですが、今回は、2章:ターニング・ポイントと個人およびコミュニティの倫理の重要性、3章:権力、精神療法、そして異議の新しい可能性 という内容について、お互いに読み進め分かち合いました。

2章では著者のセラピストとしての実践史の中でナラティブ実践へのターニング・ポイントとなった経験が述べられています。
当時の技術進歩によって面談の様子を録画・録音し、その検証・振り返りを通して様々な気づきや示唆が得られた経験。ワークショップでの同僚とのやりとりの中で、自分が社会の中での多数派側にいることを無意識に同定化していたという現実に気づかされ、それは自分側の世界観でしか語っていたにすぎず、少数派の人々の心の深い部分を見失っていたという経験。
人々の多様な人生を同定化し病理化してしまうことへの危惧など、、、。
多数派は社会の権力となりその主流でもある精神療法に対して、NO!と、異議を唱え、人々の語りに光をあてていくことが大切だということを共有することができました。

3章では、その社会的権力に対して、コントロール(された)倫理の存在について詳しく展開されていきます。

支配的文化の中で生きる私たちが、その文化の外側に立つことは不可能なことかもしれませんが、その社会の構成された文化を同定化する必要はなく、そのコントロール倫理を疑問視すること、自己の規範的概念を批評すること、権力と支配の構造を同定し明確にしていくことが大事なのです。
そしてお互いに文化の異なる地点にいるということを意識しながら、セラピストと相談者が互いに援助し合う新しい回復法を見つけるべき時期に来ていると結論づけられていました。