継承

寒い日が続いています。雪深い地域の皆さんは、本当に大変なことと思います。
どうぞご無理のないようにお過ごしください。

明日が節分ですから、明後日が立春。暦では春到来になります。実際は、お彼岸まではまだまだ冬で、「暑さ寒さも彼岸まで」の言葉通り、3月の中旬過ぎまで春を感じることは難しいかもしれません。私は寒いのが苦手なので、もう少し我慢の日々です。

節分のような祭事は、京都に根強く残っているように思うのは、私のステレオタイプ的な考え方だろうか。今NHKBS1で「京都人の密かな愉しみ」という番組が放送されていますが、見たことがある方はいますか?私はかなり前から、シリーズで放送されているこの番組が好きで、欠かさずに楽しく見ている。今回のテーマは「継承」。何百年も続く老舗京菓子屋の跡継ぎ問題を主軸に、着物屋や庭師など、京都に古くから続く老舗を、若者がどう継承していくか、守らなければならないものは何なのかが、物語られている。老舗故の‶拘り”の中には、私なんかは何で?と思ってしまうものもあるが、「はんなり」とはどういうことかが語られるくだりなどは、興味深く面白かった。画像も京都の景色がとても魅力的だし、場合によっては日本の伝統的な雰囲気を味わえたりもする。私のお勧めの番組なので、興味を持った方は一度ご覧ください。ただ、オリンピックなどがあって、次の放送日は3月1日になってしまいます。

京都の老舗でなくても、「継承」とはいうのはなかなか厄介なものだったりする。私の実家は材木屋で、祖父から父が継ぎ、その生業で私は育ててもらった。私には兄がいるので、順当に行けば、兄が父の仕事を継いだわけだが、材木屋が良かったのは江戸時代の話で、昭和は既に斜陽の職種だったので、兄は建築士になり材木屋を継がなかった。ただ、何となく材木屋と大きく離れていない仕事なのが面白いと私は思っている。これならご先祖様も許してくれると、父も兄も思ったのだろうか。
私も65歳を過ぎたころから、自分の仕事のことでも「継承」を考えたりするようになった。会社や店を継ぐというのとは違うが、私がこの業界のパイオニアの先輩たちから受け取ったものを、どのように次の世代に伝えていくかということである。先輩は何人も鬼籍に入っており、今の人たちが直接学ぶことはできない。私は幸いにも二十歳のころから多くの場で、その姿を見て、指導を受け、一緒に仕事などさせてもらった。こんなチャンスを得た者はそうはいないので、何とか次の世代の方たちに、先輩たちが大事にしてきたものを継承したいと思ってしまうのです。

あと何年私が仕事をするか分からない。でもまあ10年以上は難しいと思う。その間に、私に触れてもらう度に、1つずつでもパイオニアパイたちが大事にしてきたものを、見つけていってもらえれば嬉しい。私もそれを意識して、恩返しのつもりで、先輩たちの思いを体現していきたいと思う。

京都では100年ぐらいでは老舗と認めないそうだ。戦後日本に入ってきた我々の分野は、たかだか80年。まだ歩き始めだ。歩き始めだからこそ、大切に継承しなければならないものがあると思う。そういったものを、仲間たちと共に繋げていくことを、あと数年一歩一歩やっていこうと、お気に入りのテレビ番組を見ながら考えている。