7月の例会

7/18に定例会を行いました。今例会から新しく「傾聴の心理学」(PCAを学ぶ)を読み始めました。この本は南山大学の坂中先生が編集しており私も以前からお名前だけは存じ上げていたので例会でとりあげてもらえてロジャーズをふりかえることができそうです。

 

今回はプロローグ&第1章~第3章までを読み進めていきました。

1章はPCA(=パーソンセンタード・アプローチ)の概要です。ロジャーズが中心となってPCAは発展してきており特に彼が当時の臨床的カウンセリングに疑問を持ち「人は自分の問題を自分で解決する力をもっている」と着想を得たことでクライエント中心療法やPCAの発展へと繋がっていきます。PCAは単なる心理療法やカウンセリングにとどまらずもっと身近で拡がっていく可能性があるものだということを覚えておきたいです。

さらには対人援助の土台であり人が自己実現をしていく際の大事なロジャーズの3つの態度条件や6条件にも触れています。私も3条件はよく目にする機会があるのですが6条件は久々に思い出しました。

 

2章ではクライエント中心療法として有名なPCAにおけるカウンセリングや心理療法としてのPCC(パーソンセンタード・セラピー)の解説です。ここでは自己概念と経験(一致・歪曲・否認)について2つの円を用いて説明されています。体験学習では歪曲・否認の部分を合理化・抑圧と言う言葉を使って説明するのですが、坂中先生が経験と自己は同じ大きさでいいのか?歪曲の部分は対象としての経験に接していないのに歪曲といえるのか?という疑問をだしてくれており、私も目から鱗で新鮮な気づきをいただきました。

パーソナリティ発達での自己概念の形成において、体験学習では経験から形成されると表現していました。しかし本書では自己概念の形成には重要他者(親・保護者)というさらに突っ込んだ表現がされており重要他者の価値の条件が子どもに影響するということを浮かび上がらせています。

 

3章ではジェンドリンの体験過程理論やフォーカシングを中心に、独自の発展を遂げているフォーカシング思考心理療法まで射程にいれて解説しています。

フォーカシングではフェルトセンスという曖昧でまだはっきり言葉にならないものを象徴化していく作業があり、象徴化と同時に新たなフェルトセンスが生まれていくということを繰り返していきます。ピッタリした言葉で象徴化ができるとからだが軽くなったりするようです。私はどうもこういった五感を使うことを苦手にしており20年前に1度挑戦したのですがさっぱりだめでした。でもまた機会があればチャレンジしたいです。

 

これら3章からでも体験学習に通じる部分があり、いろんなアプローチ方法があることがわかります。但しHow to 的な技法に走らず、自他尊重した関わりや視点をもつことで自己実現への可能性が拡がっていくものではないかと思いました。