2月の例会

昨日2月17日は、自由に語り合おう~実家に帰ったみたいに~のあと、例会の時間を持ちました。

今月は、グループの力「グループの治療的・促進的な力を活用するということ」田辺 等 氏の章を担当者がレジュメに沿って解説をし、メンバーで検討及び話し合いをしました。田辺氏は、精神科医です。

精神療法、心理療法というと、治療者と患者の1対1で行われるものとイメージしがちであるが、精神科医療や心理臨床では、グループダイナミクス(集団力動)を活用した集団精神療法・集団心理療法がさまざまな疾患や対象に実施されているとして、グループを活用したいろいろな実践を紹介しています。人は、生まれたときから、他者の存在が前提となっており、人格形成は家族、子ども同士、学校など集団での体験が必要である。とあります。

心理的問題をかかえていたり、対人関係でよい適応ができずに悩む人が、安全で安心なグループ体験をすることで治療的、成長促進的な効果をもたらす。また、危機的な状況の場合などは、立場、体験が共通の人同士のグループでの対話が、人生を生き抜く覚悟やエネルギーの源となりえる。

つまり、人は、集団での体験を通して、考え方・感情・行動を変えていくことができ、パーソナリティの成長の契機を得たり、困難に耐える力をつけ、生き方を変えることもできる。ということが書かれています。

グループを活用したいろいろな実践としては、依存症などの治療グループ、自助グループ、サポートグループ、薬物事犯依存者への教育的グループ、統合失調症の当事者・サポーターのグループなどがあげられています。また、言語的コミュニケーションの手法が中心のグループやアクションの手法が中心のグループ(サイコドラマ、ダンスセラピーなど)という分け方もできるようです。

私たちも、長年、ラボラトリー方式の体験学習に関わっています。Tグループの経験を踏まえて、この文章の中で、共通する部分を上げると、グループの力を引き出すためにというところに、「現在のこの集団で起きている現象(here and now)に焦点をあてる。今、ここの集団で、このようなことが起きているが、それはどういう意味か、メンバーのこころの状態とどう関連があるのか、グループワーカー(GW:グループセッションを進行するものの呼称、ファシリテーター、コンダクター、グループサイコセラピスト、グループワーカーなどを指す)は、そういう観点で考えながら関与する。

注意すべきなのは、理論的な解釈をあてはめて集団を巧みに操作するのがGWの仕事と誤解しないこと。ファシリテーターという言葉に刺激され、とにかく自分が進行しなくてはと強迫的になるGWや理論的解釈でメンバーを圧倒してよい気分になっているGWが時にいる。セッションを思い描いた通りの「結論」に持ち込むのがGWの仕事ではない。」

「グループの中で、各メンバーがほどよく自己開示し、交流し、一緒に考え、確かめ合う。GW自身も「あーそうなんだ、なるほどねー」とあらためて理解が深まる。そういう集団での現実検討、現実吟味のプロセスこそがグループの醍醐味なのである。」という記述などがあげられます。

また、GWの基本姿勢、また、グループを活用した実践が、治療者、支援者に与える効果についても、書かれており、本当に、自分自身の経験と重なる部分がありました。

グループに長くかかわっていると、なぜかメンバーの力、グループの力を信じられるようになる。そして「助けたい、救いたい、治したい」という善意と奢りの呪縛から、私たち援助者も解放されるのである。

と締めくくられていました。いま、まさに、私自身がグループに関わるときに強く感じ、自分に戒めている言葉に出会えた気がしました。

文献のあとは、次回の文献「ネガティブ・ケイパビリティ 答えの出ない事態に耐える力」帚木蓬生の分担決め。それから、次年度の「自由に語り合おう」の日程と、新しい企画案を話し合いました。

追って、また、お知らせいたしますので、ぜひ、皆さま、お気軽にご参加ください。