11月の例会

今月の文献購読は、先月に引き続き、「こころの科学192号、グループの力」より「子どもの成長促進的なグループ」でした。
筆者の西村馨氏(臨床心理士)が実践する児童期の子どもの心理的問題や適応上の問題解決に有効なセラピーとして、子どもを対象としたグループセラピーを紹介しています。

子どものグループセラピーは、アメリカ集団精神療法学会の創始者スラブソンが考案、1930年代ということなので、意外にもその歴史は長いようです。
研究事例では、何らかの問題や特性ー心理的治療を受けていたり、不登校、発達障害の診断を受けている子も、そうでない子も含めた小学生のグループで、そこに若手臨床心理士、大学院生、学部生が数名ずつ関わりながら、毎週土曜日の午前中に2時間程の活動を継続的に行うというものです。

活動の内容は、①自主勉強の時間、②からだを使った運動や遊び(ポコペン、ドッチボールなど)の時間③自己表現として自分キャラ作りや物語作り、似たところ探しなどのワークの3部構成です。

子どもが楽しい!と思えるような遊びのプログラムを盛り込みながら、仲間と一緒に遊ぶ体験を通して、元気になっていく手法は、子どもの成長を促進しながら、問題となる行動パターンの改善と変容が、容易に可能になる実証例として紹介されています。

このグループで、子どもたちと関わるセラピストたちに求められるスキルは重要です。
子ども一人ひとりと信頼関係を培って、子どもの安心感の基地になること。そして子どもの行動や言葉から感情状態を理解して、子ども同士の相互理解を手助けしていくファシリテーターでもある存在。

子どもと一緒に遊べること、素直な感情表現の能力、これらの活動を自ら開発していく創造力、グループの現実的な運営能力、そして子どもに対する愛情と実践の意欲・・・・など、質の高いスキルが求められています。

私たちが子どもだった頃は、近所の子どもたちと、一緒に遊ぶ経験を沢山していたので、遊びながら、協調性や創造力、道徳性など、子どもの成長に必要なこころを育てていくことも容易でしたが、今の子どもたちは、その機会があまりありません。
そんな話題にも触れながら、子どもたちの成長のために、「グループの力」をセラピーに活用していくことが、望まれる時代なのかもしれないと感じました。

私も自分のフィールドで、現在、発達に気がかりな子を持つ親のサロンの運営に関わっていますが、一人で悩まず、同じような悩みを抱えている親や子の関わりの必要性を強く感じています。

例会の議事は、季節柄、年賀状や新年会の確認をしました。