5月例会

今月から、新しい文献に入りました。

「現実はいつも対話から生まれる」ケネス・J・カーゲン、メアリー・カーゲン著 社会構成主義と言われる考え方とケネス・J・カーゲンの主張をわかりやすく解説した本です。社会構成主義は、もともとデュルケームなどにより、社会学の考え方として生まれたもので、「現実」はそれとして存在するのではなく、人々の頭の中で作り上げられるという考え方でした。これに対し、ケネス・J・カーゲンは、社会構成主義の考えは、社会のすべてが幻想だとか実在しないということではないと主張し、人は対話(ダイヤローグ)を通して意味をつくっていくのであり、「言葉が世界を創造する」と述べて社会構成主義に新しい価値を与えました。

今月は、その第1章 社会構成主義の基礎的な考えを具体的な例をもとに解説してありました。私たちが、「現実だ」と思っていることはすべて「社会的に構成されたもの」、つまり、そこにいる人たちが、「そうだ」と「合意」して初めて、それは「リアルになる」とありました。

「何が現実か」を定める時に、常にそれは、あるひとつの文化の伝統から話しているのだということ。たとえば、人の死を語るとき、普通は生物学的観点から、「特定の身体機能の停止」として「構成」していますが、他の文化的伝統においては、「彼は昇天しました」「彼は苦しみから解き放たれました」「この物体の原子構成が変化したのです」などと語られるかもしれません。

私たちが使っている言葉は、お互いに関係を「続ける」ために使われています。それらは、世界を映しだした写真ではなく、世界における「具体的な行動」であるとあります。「止まれ」「危ない」「ボールをこっちに投げて」など、共通の名称を使うことがいかに社会的に便利かということがわかります。ところが、「ニュース報道」を例にとると、その説明が「正確」かどうかは、「共通の伝統」にかかっているのです。

・デベロッパーが新しく地域を開発している。

・空き地を破壊している。

同じ事象でも、「ある特定のコミュニティ(共同社会)の伝統を支持する形で話す」と、どちらも「現実」ということになります。

普段は、なにげなく、自分のコミュニティの伝統の側からだけの見方で、ものごとを唯一の「現実」(真実)と受け止め、思いを巡らせがちですが、別の伝統からみた「現実」(真実)もあります。

他の伝統に関心を持ち、敬意を払うという姿勢を持つことから、新しい現実や、新しい価値観が現れてくるような対話の仕方を考えることができるようです。

ポジティブ・エイジング

「老化」は「衰えていくこと」とネガティブにとらえられがちなものですが、この「老化」が「社会構成」であるならば、もっとポジティブな過程、成長過程、豊かさと成長として見る方法もあるのではないか。

というコラムがありました。

構成主義の考え方は、私にとって遠いこと、難しいことではなく、身近なところで役に立つものでもあるのかなと感じます。

まとめの最後の言葉

重要な問いは、「私たちの言葉が真実か否か?」ではありません。重要なのは、「そのような理解の仕方に加わることによって、私たちの人生に何が起こるのか?」という問いです。私たちの前途には、たくさんの新しく輝かしい道があることを示すことが、私たちの望みなのです。

とありました。

社会構成主義をSeedsのメンバーと一緒に学ぶことが、楽しみです。

考え方の違いを感じる組織への理解、考え方の違いを感じて、ちょっと近寄りがたいと感じている人への理解、対立ではなく、それを超えるポイントが、学べそうな気がします。

この文献研究のほか、現在、メンバーで担当している人間関係トレーニング講座3回目の報告と、来月6月2日~3日で予定している恒例のSeeds合宿の詳細を打ち合わせました。

初日のランチの場所も決まり、楽しみです。