誰もにこんな風に思ってもらいたい

今回は、先週最終回を迎えた私の好きだったドラマのことを、書きたいと思います。
それはNHKの「しあわせは食べて寝て待て」というものです。
原作は漫画家の水凪トリさんです。脚本は桑原亮子さん。私はお二人をよく知らなかったのですが、このドラマのテーマ(病気があっても、障がいがあっても、厳しい環境であっても、その人がその人らしく周囲の人たちと共に無理することなく生きる)に影響している病気や障がいを、ご自身がお持ちの方たちでした。
後になってそれを知り、なるほどだから実感を伴うセリフや演技が随所に見られたのだなと、勝手に思いました。
ネタバレですが、書かないわけにもいかないので、内容をざっとお伝えしたいと思います。
40ぐらいの主人公の女性が膠原病になり(原作者も膠原病だそうです)、今までのバリバリのキャリアウーマンを続けられない状況になります。離職、引っ越しが余儀なくされ、団地に移り住み、仕事も社員が数人の事務所のパートになります。でも、その変化の中で出会った人々との関係で、薬膳を始め多くの新たな考え方に出会い、自分の考え方や生活の仕方を変えていくのです。そして、着実に彼女も自分の人生を前向きに、そして豊かなものにしていく力を得ていくのです。その力は彼女だけでなく、彼女に周囲の人にも影響を与えていくのです。そんな姿が失敗や諦めも含めてリアルに描かれているドラマでした(あくまでも私の見方ですが)。
初回から私は内容を気に入っていて、必ず録画をして優先的に見るようにしていました。なのでいくつかの印象的なシーンがあるのですが、今回は最終回の主人公のセリフを、皆さんに紹介したいと思います。
私は、前にも書いたかもしれませんが、日本アサーション協会という所に属しています。アサーションをすごく簡単に言う(少し乱暴ですがお許しください)と、人間の尊厳を守る(一人ひとりを大切にする)という考えを基に「自分も相手も大切にした表現」ということです。
これから紹介する主人公のセリフは、「アサーションってこういうことだよね」と私に思わせてくれたものです。
それは主人公が自分の生活を変える力を与えてくれた人に、久しぶりに自分の近況を電話で語っているシーンでした。
「ワカメ入りのおでんを作っていたら、大学時代の友人からメールが来たんです。愚痴を聞いて欲しいと言われたんですけど、身体を休めるための休日だったので、断ってしまいました。一瞬、私は冷たい人間になったんだと思ったんですけど、いやそうじゃないって考え直しました。私はやっと自分を大切にできるようになったんです。『私はやれるだけやった』そう思うことにします。」
というセリフです。
彼女は以前は、今の自分にはちょっと辛いなと思う値段のランチに誘われても、そのことを率直に伝えることができず、一緒に行ってしまうというようなことをしている人でした。その人がこんな風に動き、こんな風に考えられるようになったのです。
私は誰もが、自分らしく自由に正直に生きられる世の中になるといいと、いつも思っています。だからみんなが、この主人公のように考えられたらいいなぁと思ってしまいました。
皆さんは、どう感じますか?
そうそう、最後になりましたが、私たちが文献に取り上げて読んだ「ネガティブ・ケイパビリティ」も、ドラマに取り上げられていて嬉しくなったことも書き添えておきます。


