日日是好日

クリスマス近くになると、お菓子作りが得意なメンバーがいつもシュトーレンをくれる。シナモンが効いていて、たっぷりナッツが入っている。シナモンもナッツも大好きな私は、いつも心待ちにしている。今年もすでにおいしくいただき、幸せな気持ちだ。

そして、クリスマスが終わると、2018年も終わりとなる。1年が過ぎ去るのは本当に早い。

 

ところで、今年お亡くなりになった方に樹木希林さんがいる。晩年になってからは特に味わい深い演技とともに、病と付き合いながら生きる人として語られる言葉に重みがあった。亡くなられたと聞いて、残念に思った。

最後の映画となった「日日是好日」を観に行こうと思ったが、なかなか行けず、まずは本を読んでみようと思った。ところが、私にはこれがなかなか良かったのである。茶道を始めた主人公とその先生とのエピソードを通して、「お茶が教えてくれた15のしあわせ」が書かれた本であった。

先生役を樹木希林がしたようだ。本の中の人物は樹木希林とは少し違う気もした。でも、まあいいとしよう。それよりも、「お茶が教えてくれた15のしあわせ」として挙げられているものは、私たちが日ごろの「体験から学ぶ」ときに大事にしたいことだと思ったのである。「自分は何も知らないということを知る」、「頭で考えようとしない」などに始まり、、、極めつきは「今、ここにいること」「長い目で今を生きること」があげられていた。私は主人公とほぼ同時代を生きてきたからであろうか、エピソードも秀逸だった。

そして、「茶道」は多面的で、人によってとらえ方が違うがどれもその人にとっての「茶道」なのだ、と作者は言っている。「ラボラトリー方式の体験学習」も解釈の幅があるように思うので、そうした点も似ていると思った。また、「日日是好日」とは禅語の一つであることから、体験から学ぶことは、禅の精神につながっているとも思った。

そして、人間関係を体験的に学ぶことも、まずは目の前の人との「一期一会」を大切にすることから始まり、体験後のリフレクションは、茶道ではお稽古を通して自分の内側に耳を澄ますという点とも共通項があるように感じた。

映画を観たらどう感じたかはわからないが、文字になって自分なりの解釈に自由度が増した分、自分の関心事にひきつけてみられたのかもしれない。読みやすく、腑に落ちて、いい本に出会えたと思った。少し前の出版だが、私には今年のヒットであった。